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Fire #smudge #repeater, Dan #smudge #repeater, Cabin #smudge #repeater(2019)  この三連作は、《#smudge》の発展形として制作されたものである。小林は、マウスの動きを記録するソフトを使い、一度のストロークを“ゴーストリプレイ”のように複数の画像に反復させた。同一の筆跡が三枚の写真にまたがって刻まれることで、それぞれのイメージは独立しながらも、編集行為によって縫い合わされる。  三枚の画面には、ある一日の出来事が映り込んでいる。赤い《Fire》には焚き火の炎、黄色い《Dan》にはその場にいた友人、青い《Cabin》には集まった小屋の風景。いずれも小林が仲間たちとバーベキューを過ごしたときの光景である。つまりこれは、色彩の異なる断片として分けられた記憶を、同じストロークが横断的に繋ぎ直す作品だといえる。  ここで重要なのは、ストロークが単なる編集操作ではなく、「縫い目」として機能している点だ。布に糸を通すことでシワや歪みが生まれるように、同じ筆跡が異なる画像をまたぐことで、画面全体の空間が折れ曲がり、歪み、別の連続性を生む。その発想は、宇宙論における重力の歪みやワームホールの比喩とも重なり、トポロジー的な関心が透けて見える。  さらにこのシリーズは、静止画にとどまらず、《#smudge #video》として映像化もされている。ストロークの痕跡を500フレームに分解した動画ファイルの一枚一枚に刻みつけ、その連なりを映像として再構成することで、ストロークは「時間の縫い目」として可視化された。静止画で空間を繋ぐ痕跡が、映像では時間そのものを貫く軌跡となる。  《Fire》《Dan》《Cabin》は、個別のモチーフを超えて「時空を編集する」というテーマを示した初期の代表作である。記憶の断片を縫い合わせるようにして、場や人や物を結び直す。そこに小林の一貫した関心──像を通じてどのように時間と空間に触れられるか──がはっきりと表れている。 (installation shot by Kioku Keizo)
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